捨てた方がいい。
頭では、そう分かっている。
でも、なかなか捨てられない。
私には、そんなものがたくさんあります。
特に捨てにくいのは、思い出が強く残っているものです。
昔使っていたもの。
誰かからもらったもの。
その頃の自分を思い出すもの。
物そのものは、もう必要ない。
それでも捨てようとすると、
「これを捨てたら、そのときの思い出までなくなってしまうんじゃないか」
という気持ちになります。
私はもともと、何かを選んだり、手放したりすることがあまり得意ではありません。
でも考えてみれば、捨てるという行為も一つの「選択」です。
残すものを選ぶ。
そして、残さないものを決める。
では、何を基準に決めればいいのでしょうか。
私は最近、
「その物は、自分を過去にとどめるものなのか。それとも未来へ進む力になるものなのか」
という視点で考えるようになりました。
今回は、手放すのが苦手な私なりに、捨てるか迷ったときに考えたいことを5つに整理してみます。
1.今の自分は、本当にそれを使っているか
まず、とても単純なことです。
今、それを使っているか。
「いつか使うかもしれない」
という言葉は、本当に厄介です。
私自身、
「もしかしたらまた使うかも」
と思って残してきたものはたくさんあります。
でも振り返ってみると、だいたい使いません。
何年も使っていないのに、
「いつか」
という未来だけを理由に場所を与え続けている。
そして、本当に必要になったときには、その物の存在すら忘れて、新しいものを買っていたりします。
だから最近は、
「いつか使うか」ではなく、「今の生活の中で使っているか」
を考えた方がいいのではないかと思っています。
もし本当に必要になったら、買い直せるものもたくさんあります。
もちろん、二度と手に入らないものもあります。
だから「使っていない=全部捨てる」という単純な話ではありません。
でも少なくとも、
「いつか使うかもしれない」だけで残していないか
は、一度自分に聞いてみてもいいと思います。
2.「高かったから」で残していないか
高かったものは、やっぱり捨てにくいです。
数万円。
十万円。
もっと高かったもの。
値段を思い出すと、
「これを捨てるのはもったいない」
と思います。
場合によっては、
「こんなに捨てにくいなら、最初から高いものを買わない方がいいんじゃないか」
とさえ思います。
でも、この感情には「サンクコスト」という考え方が関係していることがあります。
すでに払ってしまったお金は、これからその物を残していても戻ってきません。
10万円で買ったものを10年間押し入れに入れておいても、10万円が戻ってくるわけではない。
それなのに、
「10万円払ったのだから捨てられない」
と、過去に払った金額が現在の判断を縛ってしまう。
だから私は、
「高かった」は、これからも持ち続ける理由になるだろうか?
と考えるようにしています。
今も使っている。
見るとうれしくなる。
これからも必要。
そういう理由なら残せばいい。
でも、
「昔、高かったから」しか理由がないなら、それは過去に払ったお金に引っぱられているだけかもしれません。
3.その思い出は、自分を「過去」に連れていくのか
私が一番捨てにくいのは、やはり思い出のあるものです。
でも最近、思い出にもいろいろあると思うようになりました。
ある物を見るたびに、
「あの頃はよかったな」
「昔に戻りたいな」
と、意識が過去へ過去へと向かってしまう。
そういう物もあります。
もちろん、過去を振り返ることが悪いとは思いません。
ときには思い出に浸る時間も必要です。
ただ、もしその物を見るたびに、自分の意識が過去に縛られてしまうのなら、
その物の役割はもう終わっているのかもしれない。
そんなふうにも考えます。
物を捨てたからといって、そのときの出来事まで消えるわけではありません。
記憶は自分の中に残っています。
それでも不安なら、写真を撮って残す方法もあります。
現物はなくなっても、画像なら場所を取りません。
物と記憶を、必ずしもセットで持ち続けなくてもいい。
そう考えると、少しだけ手放しやすくなります。
4.その思い出は、未来へ進む力になるか
ただし、
「思い出の物は捨てるべき」
とも思いません。
ここが難しいところです。
昔の写真を見る。
誰かからもらったものを見る。
昔使っていたものを手に取る。
その瞬間に過去を思い出して、
「よし、また頑張ろう」
と思えることがあります。
懐かしい記憶が、未来へ進むエネルギーになる。
そういうものなら、私は残してもいいと思います。
つまり、
過去を思い出すこと自体が問題なのではない。
私が大事だと思うのは、ベクトルの方向です。
その物から、
過去 → 過去
へ意識が向いているのか。
それとも、
過去 → 未来
へ向かっているのか。
同じ思い出の品でも、この違いは大きいと思います。
昔を懐かしむことで元気になる。
大切だった人との記憶を思い出すことで、今日を大切にしようと思える。
昔の自分を見て、
「ここまで来たんだな」
と思える。
そんなものなら、それは単なる過去の遺物ではなく、
今の自分を支えてくれるもの
なのだと思います。
5.自分がいなくなったあとにも、残す意味があるか
少し現実的な話もあります。
自分にとって大切な物でも、いつか自分がいなくなったあと、それを片づけるのは別の誰かです。
本人にとっては、
「これはあのときの大切な思い出で……」
というものでも、残された人からすれば、
「これは何だろう?」
となるかもしれません。
思い出を知らない人にとっては、ただの物です。
少し冷たい言い方ですが、場合によってはゴミになってしまいます。
一方で、ブランド品や価値の残るものなら話は違います。
使ってもいい。
売ってもいい。
次の人にとっての価値があります。
これも一つの境目なのかもしれません。
だから、
「自分がいなくなったあと、これは誰かにとって意味のあるものだろうか?」
という視点も、ときどき考えます。
もちろん、この基準だけで大切なものを全部処分する必要はありません。
ただ、
「自分にとって大切だから、永遠に残すべきもの」
と思い込まず、少し離れた場所から見るための一つの問いにはなると思います。
捨ててよかったものは、思い出せない
ところで、
「これまで捨ててよかったものは?」
と聞かれて考えてみました。
たぶん、たくさんあるはずです。
でも、
何を捨てたのか、ほとんど思い出せません。
最初は答えになっていないような気がしました。
でも、よく考えたら、それこそ答えなのかもしれません。
捨てる前には、
「本当にいいのかな」
「あとで必要になるんじゃないかな」
「後悔しないかな」
と散々悩んでいたはずなのに、数年経ったら、その存在すら思い出せない。
つまり、
思い出せないということは、なくなっても困らなかったということ。
だったのかもしれません。
捨てる前の不安は大きい。
でも、捨てた後の世界は案外普通に続いていく。
この経験は、私にとって少し安心材料になっています。
後悔しやすい人は、無理に捨てなくてもいい
ここまで書いておいてですが、
私は、
「迷ったら捨てるべき」
とは思いません。
人によるからです。
一度捨てたものを何年も思い出して、
「あれを残しておけばよかった」
と後悔し続けるタイプの人もいるでしょう。
そういう人なら、無理に捨てない方がいいこともあると思います。
反対に、
過去の物が多いと気持ちまで過去へ引っぱられてしまう。
できるだけ身軽になって、新しいことに向かいたい。
そんな人なら、積極的に手放すことが合っているかもしれません。
誰かが決めた、
「○年以上使わなかったら捨てる」
というルールが、すべての人に正しいとは思いません。
大切なのは、
自分はどんな人なのかを知ったうえで決めること。
だと思います。
捨てる前に、自分に聞いてみたい5つの質問

もし今、目の前の物を捨てるか迷っているなら、私は次の5つを考えてみます。
1.今の生活で、本当に使っている?
「いつか」ではなく、今の自分に必要か。
2.「高かったから」だけで残していない?
過去に払ったお金ではなく、今の価値を見る。
3.その物は、自分を過去にとどめていない?
思い出すたびに、前ではなく後ろばかり向いていないか。
4.その思い出は、未来へ進む力になる?
懐かしさが、今の自分を元気にしてくれるものなら残す意味がある。
5.これからの自分と一緒に持っていきたい?
最後は、これが一番大切なのかもしれません。
捨てることは、過去を否定することではない
物を捨てるというと、
「過去を切り捨てる」
ような感じがしてしまうことがあります。
でも、私は少し違うと思うようになりました。
大切だったものが、大切ではなかったことになるわけではありません。
誰かからもらったものを手放しても、その人との時間までなくなるわけではありません。
昔の自分が選んだものを捨てても、その頃の自分を否定したことにはならない。
むしろ、
役割を終えたものに「ありがとう」と言って、今の自分に必要なものを選び直す。
そう考えることもできます。
そして、残すと決めたものは、
「捨てられなかったもの」ではなく、
「これからも一緒に持っていくと、自分で選んだもの」
になる。
その違いは大きい気がします。
捨てるか、残すか。
たぶん、万人共通の正解はありません。
でも迷ったときには、その物を手に取りながら、こんなふうに考えてみたいです。
この物は、過去に私をとどめるものだろうか。
それとも、
これからの私を、未来へ連れていってくれるものだろうか。
その答えが、自分なりの「手放す・残す」を決めるヒントになるのかもしれません。


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